どんな戦国大名にも、最初に参加した戦、つまり「初陣」というものが存在します。しかし、当時は現代でいうところの中学生~高校生くらいの年齢で経験するのが一般的だったため、初めから活躍するのは決して簡単ではありません。
それでも、後年で名を挙げる武将の中には、この「初陣」時点から格の違いを見せつける人物たちもいました。
この記事では、初陣から華々しい活躍を見せた武将4人を紹介します!
後継者の座を勝ち取る奮戦!上杉謙信
謙信の初陣は、14歳の時に経験した栃尾城の防衛戦でした。この戦は混乱する国内において勃発していた内乱の一種であり、加えてこの栃尾城は重要拠点とも位置付けられていたのです。
初陣といえどもあくまで有利な戦いや軽微な任務に駆り出される「形式上のもの」も少なくないのですが、ここには謙信にかけられた期待と彼の陣営が苦しい状況にあったことを読み取ることができます。
謙信が対峙した長尾平六という人物は、彼の幼さを半ば馬鹿にしたような形でちょっかいをかけてきていました。しかし、謙信を中心とした栃尾城の面々はこれによく対処し、彼の兄にあたる長尾晴景が援軍の動きを見せたことで軍勢も増加。謙信は年配の手練れとして知られた部下たちにも勝手な動きを許さず、軍をよく統制したことで最終的に敵将以下多数の兵を討ち取る大功を挙げました。
この戦は、後年彼自身をして「あのときは大手柄を挙げた」と述懐するほどのもので、活躍ぶりを目の当たりにした兄の晴景から家督を譲られる原因にもなったと言われています。
鮮やかな手際で六角氏を撃退!浅井長政
長政の初陣は、15歳の時に経験した野良田の戦いでした。この戦は父である浅井久政が六角氏への従属を表明したものの、それに反発した長政や彼の家臣たちが主君へ反旗を翻し六角氏から嫁いできた娘を離縁することで勃発しています。
この戦では長政の兵力に比べて3倍以上とも伝わる六角軍と対峙せざるを得ませんでしたが、長政は見事な戦ぶりを披露し浅井家を勝利に導いたと伝わっています。
この勝利はただ単に一度の戦を制したというだけに留まらず、北近江における浅井の勢力を誇示し、また将来性に富んだ長政を見込んだ家臣らの手で父の久政が半ば強制的に隠居へと追い込まれたという説が生じるほどの影響があったようです。
さらに、浅井の勢力に注目した織田信長が六角氏を挟撃するために彼らと同盟関係を結ぶという手段に出たため、長政は彼の娘であるお市の方と結婚することになりました。