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信長公記・3巻その3 「本願寺の挙兵」

信長公記・3巻その3 「本願寺の挙兵」

信長公記・3巻その3 「本願寺の挙兵」
画像:石山本願寺跡

本願寺の挙兵

1570年9月19日(元亀元年)、信長は岐阜城を出発して畿内(山城国・摂津国・河内国・大和国・和泉国)の南へと向かい、横山へと進んで21日には長光寺(滋賀県近江八幡市)へ着き、22日に本能寺(現在の中京区の本能寺ではなく下京区堀川四条にあった)に入り、1日半ほど滞在した。

24日、淀川(琵琶湖から流れ出る唯一の河川)を超えて河内国(大阪府藤井寺市)に入って招提寺(大阪府枚方市の敬応寺)に陣を構えた。

25日、信長は軍を引き連れて野田城(大阪市都島区)と福島城(大阪市福島区)を攻めた。

織田軍は天満(大阪市北区)から川口、渡辺、神崎、上難波、下難波、浜の手に(つまりは天満から淀川の河口まで)陣を築き、信長は天王寺に本陣を構えた。

天王寺には大阪、堺、尼崎、西宮など畿内の各地から人が集まり、名物や珍物を持参して挨拶に訪れる者や、織田の兵を見物しようと訪れる者で賑わった。

さて、野田城と福島城には三好長逸、三好康長、三好政勝ら三好一派と、それに加勢する細川昭元、安宅信康、十河存保、篠原長房、岩成友通、香西佳清、さらに斎藤龍興や長井道利ら合わせて8000の兵が立て籠もっていた。

ただし、すでに香西佳清と三好政勝は信長に内通しており、織田軍を城内へ引き入れる計画を進めていた。しかし、思いのほか城内の敬語は堅く、計画は難航していた。

そして、調略が無理と判断した佳清と政勝は9月27日に城を抜け出し、信長の待つ天王寺に向かった。そんななか、10月2日、足利義昭は信長と合流するために細川藤賢(足利義輝の元・家臣)の中嶋城(大阪市東淀川)に移動。

7日、信長は大阪から西に1キロメートルほどの場所にある楼の岸に砦(楼ノ岸砦)を築き、斎藤新五、稲葉一鉄、中川八郎右衛門重政の3人を配置した。

さらに、川口(大阪市西区)にも砦を築き、佐々成政、平手監物、平手汎秀、水野監物らを配備させた。8日、信長は天満に本陣を移し、翌日には野田城と福島城の周辺の入り江や堀を埋め立てた。

11日、義昭と合流した信長は野田城と福島城の北から1キロメートルほどの場所にある海老江(大阪市福島区)に陣を構え、織田の兵や武将らに城への一斉攻撃を指示した。

信長公記・3巻その3 「本願寺の挙兵」
画像:顕如の肖像(宮帯出版社:信長も恐れた「本願寺」宗主の実像)

織田の鉄砲隊が一斉射撃し、足軽たちが堀に押し寄せ、大鉄砲を城中に打ち込んだ。

一方、敵方には根来衆、雑賀衆、湯川衆、紀伊国(和歌山市)からは奥郡衆など2万の兵が援軍として加わり、遠里小野(大阪市住吉区)と天王寺に張っていた織田軍の陣営に3千の鉄砲隊が玉を打ち込んできた。

敵の砲撃は続き、織田の鉄砲隊も応戦し、辺りは黒煙だらけになった。しかし、次第に敵兵の疲労が目立ってくると、敵将の数人が和睦の交渉を持ち掛けてきた。

信長は「断じて受け入れず。身の程を知らぬ輩(やから)は攻め滅ぼす」と和解を申し入れず、徹底的に打ちのめす決意を表した。織田の優勢で勝利するかと思われたが、思いもよらぬ事態に発展する。

大阪が信長の手に渡ることを危惧した石山本願寺の僧たちが「打倒、信長」を掲げて挙兵したのである。10月12日の夜、石山本願寺の僧らは楼の岸と川口の砦に鉄砲を撃ちこんで攻め入り、織田軍と抗戦する姿勢をとった。

ここで激しい戦闘は行われなかったが、13日になると石山本願寺の僧らは天満まで進軍し、応戦する構えをとった織田軍も天満に向けて出陣し、両軍は淀川の堤防で衝突して合戦が始まった。

織田の先鋒隊を佐々成政が務めたが手に傷を負って退いた。続いて前田利家が堤通りの中筋から突撃し、右手からは弓矢隊の中野又兵衛が攻撃し、左手からは野村越中、湯浅甚助、毛利秀頼、兼松又四郎らが攻撃を仕掛けた。

毛利と兼松が組んで敵方の下間頼照の配下・長末新七郎という敵将を討ち取った。このとき毛利は兼松に「お主が首を持っていけ」と手柄を譲ろうとしたが、兼松は「私は手伝っただけ。おぬしの武功である」と断った。

結局、どちらも譲り合って話がまとまらず、その場に首を置いて戦に戻った。その後も合戦は激しい混戦となり、織田軍は野村越中が討死にした。

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