明治創業で現在も経営を継続している企業は日本に何社ある?
画像:明治150年ロゴマーク(明治150年関連施策推進室)
2018年から150年前の日本(1868年)は明治時代が始まった年。明治150周年を記念して内閣官房は「明治150年関連施策推進室」を発足し、一般公募によりロゴマークも決定しました。
それに伴い、東京商工リサーチ(TSR)が約311万社の企業データベースから明治時代に創業し、現在も経営を続けている(倒産・休業・廃業・解散していない)企業をリサーチし、公開しました。
地区別の明治創業企業数
画像:2018年10月8日-山形新聞の記事
企業データベース311万社のうち、明治時代にに創業し、現在も経営を続けている(倒産・休業・廃業・解散していない)企業は全国で2万1799社。地区別では、次の通りとなっています。
地域 | 明治創業 | 総企業数 | 割合 |
北陸 | 922社 | 70923社 | 1.3% |
東北 | 2055社 | 171250社 | 1.2% |
四国 | 920社 | 83636社 | 1.1% |
中国 | 1516社 | 151600社 | 1% |
中部 | 3387社 | 376333社 | 0.9% |
近畿 | 3703社 | 462875社 | 0.8% |
九州 | 1952社 | 325333社 | 0.6% |
北海道 | 665社 | 133000社 | 0.5% |
関東 | 6679社 | 1335800社 | 0.5% |
合計 | 2万1799社 | 310万8091社 | 0.7% |
また、都道府県別で見ると1位は山形県で、東北地方2055社のうち414社。山形県は、明治時代から続く製糸業関連の企業が多いことが大きな要因になったようです。
一方、売上高の1位は日本生命保険(株式会社ニッセイ)。企業別の売上高トップ10のうち、3社が保険会社で、ほかには石油、商社、製鉄関連などの会社がランクイン。
文明開化の到来と共に、明治・大正・昭和・平成の4世代にわたって日本の産業をリードしてきた大手が企業別トップ10の上位を占める結果となっていました。
都道府県別の明治創業企業数
1位 山形県(東北地方)・・・414社(全体の1.9%。地区に対しての割合は20%)
2位 新潟県(北陸地方)・・・392社(全体の1.8%。地区に対しての割合は42%)
3位 島根県(中国地方)・・・327社(全体の1.5%。地区に対しての割合は21%)
47位 沖縄県(九州地方)・・・9社(全体の0.04%。地区に対しての割合も0.04%)
業者別の明治創業企業数
画像:京都・明治150年シンポジウムのポスター(京都市)
以下、上位20の業種
業種 | 社数(社) | 割合(%) |
酒の小売業 | 462 | 2.12 |
不動産業 | 460 | 2.11 |
木造建築を除く工事業 | 413 | 1.89 |
旅館・ホテル | 408 | 1.87 |
呉服・生地の小売業 | 381 | 1.75 |
清酒の製造業 | 363 | 1.67 |
その他の卸売業 | 362 | 1.66 |
土木工事業 | 321 | 1.47 |
ガソリンスタンド | 307 | 1.41 |
印刷業(紙のみ) | 281 | 1.29 |
酒類の卸売業 | 268 | 1.23 |
婦人服の小売業 | 262 | 1.2 |
その他の小売業 | 250 | 1.15 |
材木・竹材の卸売業 | 240 | 1.1 |
木造建築業 | 231 | 1.06 |
金物の卸売業 | 228 | 1.05 |
生菓子の製造業 | 224 | 1.03 |
その他の燃料小売業 | 216 | 1 |
生鮮魚介の小売業 | 207 | 0.95 |
生鮮魚介の卸売業 | 203 | 0.95 |
合計 | 6087 | 27.9 |
※割合(構成比)は明治創業企業の総数21799件から算出
注目すべきは酒関連の業種。酒の小売業・清酒の製造業・酒類の卸売業の3業種が上位20に入り、明治創業企業の総数21799件に対して5%(計1093件)の比率。
酒は、古くから人間の生活と密接に関わってきた分野であり、明治時代の近代化に伴って家業から企業へ事業形態が変わり、生産・流通・販売のシステムが発展したことも要因の一つと考えられます。
続いて、建築工事業・土木工事業・材木・竹材の卸売業・木造建築業といった建設関連は計1205社。明治創業企業の総数21799件に対して5.5%の比率で、業態の大きなくくりとしては酒関連を上回る結果となりました。
そのほか、上位20に入る業種は衣食住に関わる分野が目立ち、やはり、人々の暮らしと密接なつながりをもつ業種は時代を問わず、将来にわたって継続している傾向が強いようです。