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大阪の陣や本能寺の変など戦国時代の出来事に由来する慣用句や言葉

頑固一徹

大阪の陣や本能寺の変など戦国時代の出来事に由来する慣用句や言葉
画像:長谷川等伯・画「稲葉一鉄」(妙心寺智勝院)

自分の考えや態度を絶対に変えずに最後まで押し通すことを頑固一徹と言いますが、この慣用句の由来となった戦国武将が稲葉一鉄(稲葉良通)です。

斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉に仕え、西美濃三人衆の筆頭と称された名将。一鉄は自他共に認める「頑固者」だったようで、その性格を物語る有名なエピソードがあります。

信長の家臣だった頃、戦功を挙げた一鉄に信長は褒美として「信」の字を授けようとしましたが、これを一鉄は「いりません」と一つ返事で断ってしまうのです。

この時代、主君の名前の一文字を授かることは最高の名誉とされており、それを断るなんて前代未聞の事態なので信長も家臣らも驚いたことでしょう。

頑固者な一鉄が由来し、頑固一徹という言葉が生まれたわけですね。

くだらない

大阪の陣や本能寺の変など戦国時代の出来事に由来する慣用句や言葉
画像:京都風俗博物館

そんな"くだらない"ことで落ち込むなよ、とか、くだらない話するな、とか、くだらないとは内容や価値がないという意味の言葉ですが、この語源も戦国時代と言われています。

情勢が乱れて京都の治安が怪しくなってくると、貴族や公家たちは「骨董品や貴重品など価値の高い品物」を京都から遠ざけて地方へ移したそうです。

一方、価値の低い物は地方へ移さず、そのまま。この頃、京都は日本の中心地で都と呼ばれ、都へ行くことを「上る」と言い、離れることを「下る」と言っていました。

価値の高い物は都を下り(下るもの)、価値の低い物は地方へ下らない(下らないもの)、という由来が「くだらない」=「内容や価値がない」の語源になったようです。

佃煮

大阪の陣や本能寺の変など戦国時代の出来事に由来する慣用句や言葉
画像:狩野探幽・画「徳川家康」(大阪城天守閣)

佃煮の発祥地は400年前の江戸の佃島。現在の東京都中央区にあった漁師町です。佃村の漁師たちが売り物にならない小魚を甘辛い味付けで煮て食べたのが始まりとされています。

この佃村の漁師たちは徳川家康から厚待遇を受けており、特別に漁業権を与えられていました。なぜ佃村の漁師らは家康の恩顧を受けていたのでしょうか。

そもそも佃村の漁師らは摂津国の佃村(大阪市西淀川区)が故郷で、家康が江戸に幕府を開いたときに家康から呼び寄せられて移住しました。その移住した場所が佃村という地名になったわけです。

そして、佃村の漁師たちの運命を変えた出来事が本能寺の変でした。天正10年6月2日(1582年6月2日)の明け方、明智光秀の謀反により暗殺された織田信長。

家康は少数の供回りを連れて和泉国(大阪府堺市)で町を見物していました。そんな矢先、家康のもとに信長が討たれたという報告が届きます。

明智の手勢に捕まれば織田家と同盟関係にある家康も危険な状態。

家康は急いで居城である岡崎城(愛知県岡崎市)に帰るために神崎川(大阪市住吉区)へ向かいましたが舟が手配できずに川を渡れず足が止まってしまいました。

そこへ通りかかったのが佃村の森孫右衛門と漁師たちでした。事情を知った漁師らは渡航するための舟と移動食として小魚を煮た食べ物を家康に渡し、無事に家康は大阪を脱して岡崎城へ帰還したのです。

それ以来、家康は何かと佃村の者たちに便宜を図るようになったそうで、江戸に幕府を開いたと同時に佃村の漁師らを江戸に呼び寄せ、特別に漁業権を与えたというわけです。

そして、佃村の漁師らが日頃から作っていた"小魚を煮た食べ物”が、やがて「佃煮」と呼ばれるようになったんですね。

大阪の陣や本能寺の変など戦国時代の出来事に由来する慣用句や言葉
画像:ITAKO SUISAN

日本語は歴史が深い

さて今回は戦国時代に由来した慣用句や言葉をいくつか紹介しましたが、ほかにも江戸時代や明治時代に生まれた言葉も数多く、あらためて日本語の歴史の深さを考えさせられます。

普段、何気なく使っている熟語や慣用句など言葉の由来を調べてみると、歴史上の人物や出来事などが由来していたりして思わぬ発見があったりするんですよね。

気になる言葉があれば、由来を調べてみるのも面白いかもしれませんね。

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