ほとんど「刀」は使わなかった!
画像:山県昌景の長柄隊(JAPANミニチュアフォーラム)
刀を振りかざして合戦で敵と斬り合う光景は、あくまでも映画やマンガの世界だけ。なぜなら、戦国時代の合戦において「刀」は、敵兵と交戦するための最期の手段だったからです。
合戦で使用されていた武器は「槍」が主流で、長柄槍と呼ばれるもの。読んで字のごとく柄が長い槍であり、野戦用は武将クラスの長柄槍は柄の長さが3メートル~4メートル、足軽(兵士)は柄が6メートルの槍で戦っていました。
柄が2メートル前後の槍もありましたが、これは城内や狭い敷地で戦う場合の接近戦用で、ほとんどの合戦は野外で行われていたので野戦用の長柄槍が使われたいたんですね。
槍は"突いて攻撃する"イメージがありますが、それは実力があって鍛錬された"槍さばき"をもつ武士だけの話。戦場の足軽や槍隊は突くのではなく、柄をしならせて敵兵の槍を叩くという使い方でした。
6メートルの槍を振り上げて叩くわけなので、実は相当な威力があったんですね。ちなみに、兵たちが槍の練習をするときは、川に下半身まで浸かり、水面に並行させて持った槍を上下させて水を叩く「川たたき」という訓練法だったそうです。
そのため、合戦の主役は刀ではなく槍。刀を使うケースは、槍の柄が折れたり叩き落されたり、至近距離まで敵兵が迫ったときに最期の手段として刀で防御していたんです。
その証拠に、史書や史料には敵を討ち取った兵や武将について「槍働き」と記されており、「刀働き」とは言いません。合戦では槍、弓が主流で、火縄銃が補佐的な役割を果たし、刀は最期の手段だったわけです。
また、合戦の攻撃として「投石」という方法もあり、足軽や農民兵が前線で石を敵兵に投げつけて怪我をさせる原始的な手段。とはいえ、まともに当たれば命取りになるケースもあり、投石も戦国時代の合戦では多く用いられていました。
だから歴史は楽しい!
ほかにも戦国時代や日本史に関する"誤解"はありますが、事実を知って「思っていたのと違う」とガッカリするかもしれませんが、それも歴史の面白いところではないでしょうか。
武将にまつわる逸話も一種の創作なわけで、後世に創られた美談は意外と多かったりします。そりゃそうですよね。なんせ530年以上も前のことなので、現在に至る過程で"誰か"に書き換えられていたとしても不思議ではありませんしね。
その"誰か"については、また今度の機会に。