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上杉謙信は超やり手の商売人だった!150万石を築き上げた2つのビジネスとは?

上杉謙信は超やり手の商売人だった!150万石を築き上げた2つのビジネスとは?
画像:カラムシから生成された麻糸(麻糸village )

上杉謙信は超やり手の商売人だった!150万石を築き上げた2つのビジネスとは?
画像:越後上布(株式会社丸絲)

永享3年~明応3年(1450年~1490年)には幕府の職員が着用する素襖(すおう)の素材として越後上布が採用されており、いかに上質な布であったか分かります。

そこで謙信は従来よりもカラムシの栽培に力を入れ、生産の規模を拡大し、越後上布をブランド化するために専売制を行いました。専売制とは、生産・流通・販売などを事業に関わる一切を管理下に置き、そこから発生する利益を独占する制度です。

独占的に管理するということは販売・製造元になるわけで、販売網が広がれば大きな収益に繋がる一方、品質保証や安全管理、公衆衛生上の責任を全て負うという側面もあります。

特定の商品で、なおかつ特定の地域でしか生産できず、さらに生産者が限定的であることが重要であり、全国的に一般流通している商品よりも産地が限定されている商品に対して用いられることが多い制度です。

<越後上布のアピールポイント>

  • 特定の商品・・・越後産のカラムシ(青苧)が原料
  • 特定の生産地・・・越後
  • 商品の特徴・・・製造過程において越後の雪にさらされているので通常の麻布よりも白く透き通っている
  • 限定の生産者・・・越後の女性が丁寧に織っている

このように、越後上布は他に例を見ない上質な麻布だったことが分かります。

謙信は越後の女性たちに機織りの仕事を奨励し、完成した布を謙信が自ら京都や大阪に持ち込んで商人にアピールしたり、天皇に越後上布を献上して"お墨付き"をもらったりするなど、セールスマン顔負けの働きぶりで売り込みました。

上杉謙信は超やり手の商売人だった!150万石を築き上げた2つのビジネスとは?
画像:素襖(国立国会図書館蔵)

やがて、地道な売り込みが実を結び、大名や武家、京都や大阪の商人から注文が増えるようになり、越後上布の専売に成功します。また、越後産カラムシ(青苧)の販売も行いました。

注文が入れば原料の青苧が必要になるので積極的に栽培を強化。栽培→生産→販売といった好循環が生まれ、地域産業として大きな収益を生み出すに至ったのです。

青苧の生産は2代目の景勝にも受け継がれ、直江兼続は「農業が暇な時期には副業でカラムシを生産しよう」と呼びかけています。越後上布は現在でも流通しており、2009年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。

また、直江津(新潟県上越市)や柏崎港(新潟県柏崎市)から越前(福井県)の敦賀や小浜に船で運ばれ、陸路を経由して京都に送り届けられ、生産から港湾の流通に至るまで大きな収入源になっていたようです。

直江津と柏崎の関税

上杉謙信は超やり手の商売人だった!150万石を築き上げた2つのビジネスとは?
画像:上杉謙信の銅像(春日山城)

越後産カラムシ(青苧)と越後上布の専売を地域産業として大成功を収めた謙信ですが、そのほかにも「港の通行税」「藍(あい。染料)」の販売でも収益を上げています。

藍の原料はタデ科イヌタデに分類される植物で、海外では"JapanBlue"と呼ばれる日本特有の染料です。なかでも、とくに大きな収益につながっていたのが「港の交通税」でした。

謙信は直江津と柏崎、これら2つの港を所領しており、出入りする船や貨物から税金(関税)を徴収していました。

当時、この税金は「越後の船道前(ふなどうまえ)」と呼ばれていたそうですが、直江津と柏崎から得ていた船道前は年間で4万貫(およそ金80万両)にも及んだといいます。

越後上布や越後産カラムシ(青苧)の専売に加え、船道前の徴収によって莫大な利益を得ており、そのほかの所領で得る収益も合わせると、謙信は一代で150万石(諸説あり)の財力を築き上げました。

合戦ばかりに没頭しているイメージが強い謙信ですが、しっかりと財源の確保にも取り組んでおり、地域産業や港の運営によって大成功を収めていることが分かります。

武力による舵取りだけでなく、財力においても一国のリーダーとして越後に君臨していたわけですね。

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