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天才か?秀才か?ジョブズの「プレゼンテーション」は、なぜ人の心を動かすのか?

最初に結論を述べて話のアウトラインを示す

たとえば、ジョブズがiPhone の「マルチタッチ」技術を説明した際、「我々は世界でもっとも優れたデバイスを使うことにした。人間が生まれつき持っているデバイス、それは指だ」

そして、「マルチタッチ」の技術を説明している。最初に結論を述べることによって、聞き手は「どこに向かって何を聞かされるのか」を把握できる。プレゼンのアウトラインを聞き手に認識させることができる。

シンプルな「柱」で興味をひく→最初に結論を述べる→すると聞き手は何について聞かされるかがわかり、最後まで集中してプレゼンを聞くことができる。純を追って説明から入りがちだが、結論を先に述べて話しのアウトラインを示すことが大切。

「最初に」と言っているが、これは「プレゼンの始まり」を言っているのではない。ジョブズはポイントごとに、「~について話そう」といったように結論を先に述べ、聞き手を誘導している。

テーマを絞り多くのことを話さない


画像:customersthatstick.com

ジョブズは3つのテーマに絞ってプレゼンする。たくさん言っても伝わらないからだ。初めてiPhoneをお披露目する発表の場でも3つのポイントに絞ってアウトラインを示している。

今日、我々は3つの革命を起こした製品を紹介する。

1つ目はタッチコントロールを用いたワイドスクリーンであり、2つ目は携帯電話の常識を覆したことだ。そして3つ目は、インターネットコミュニケーションとしての機器であるということ。

これらは、別々のデバイスではない。たった1つのデバイスで完結している。我々は世界でもっとも優れたデバイスを使うことにした。人間が生まれつき持っているデバイス、それは指だ。

本日、Appleは電話を再発明する!

人が短い時間で記憶できるのは3点か4点。また、人は10分で飽きるし、要点を3つに絞って伝えたい言葉を繰り返すのがジョブズのプレゼンテーション。

聞き手は基本的に考えたくない。ナンバリングを用いて、「~について今から3つ話す。1つ目は~、2つ目は~、そして最後は~だ。」というように表現することでシンプルかつ興味的な主張となる。

ときにアクションで「感動」を伝える

商品でも企画でも具体性を重視して説明しがちだが、ジョブズは”体”を使ってシンプルにプレゼンテーションする。ボディーランゲージは優れたプレゼンターには共通している表現力であり、伝える技術の一つだ。


画像:Sullivan(Getty)

両手で大きく円を描いたり指で数字を大げさに強調したり、ここぞというポイントでジョブズは大胆に動いて見せる。言葉ではない視覚的な効果があり、ただ話すよりも動作によって注意をひくことも重要なのだ。

スライドにはシンプルなテキストだけを表示する

具体的な根拠の一つに「数字」がある。数字には説得力があり、衝撃を与える。ジョブズのスライドは「箇条書きが用いられない」ことで有名であった。

ほとんどがイメージやシンプルな単語で構成されていた。単語を使うとしても、「薄い!」「一新!」といった分かりやすい単語か、「10mm→5mm」のような具体的な数字だけ。

定量的な説明は有効だが単に数字を並べるだけでなく、聴衆がイメージしやすいように効果的に数字を用いる。大きな数字だけをポンと投げださず、みんなにわかりやすい文脈を添えること。

たとえば、「今までに売れたiPhoneは400万台。嬉しいねぇ。1日平均2万台のiPhoneが売れたことになる」と話しているが、「1日平均」という言葉を添えることにより聞き手は、よりイメージしやすくなるわけだ。

スクリーンに多くのテキストがあると話し手の言葉から注意が逸れてしまう。つまり、スライドにあれこれ詰め込んではいけない。スライドにはイメージを多用し、文章を少なくするのが一流のプレゼンターと言える。

そして、シンプルな言葉で、わかりやすく確実に伝えることが最大の任務である。

わざわざ「難しく」しない

難しい言葉を使って説明したり専門的な用語で商品のクオリティを強調するプレゼンターがいるが、はっきり言って無駄。わざわざ難しくする必要はなく、大事なのは確実に伝わることだ。

プレゼンで知性や専門性を示す必要はない。難しいことを難しい言葉で説明するのは三流。プレゼンが上手い人は難しいことを小学生でもわかるように話をする。しかし、これは簡単なことではない。


画像:everlastingfootprint.com

自分の伝えたいことを聞き手が理解することが重要であり、聞き手が分からない単語を選んだり、具体的にイメージが湧かないような言葉を使うのは好ましくない。

ただでさえ難しいIT領域の話なのに、ジョブズはあえて専門用語を多用せず、製品同様にシンプルにプレゼンした。ジョブズがプレゼンで使っている英単語や表現は、かなりシンプルなものが多い。

ジョブズのプレゼンは「情報を引き算で構成」している、と言われている。

ジョブズはプレゼンを「コミュニケーション」として捉えていた。コミュニケーションの本質は、相手に伝わらなければ意味がないということ。一方的では自己満足で終わってしまう。

シンプルな言葉で表し、逆にシンプルな言葉じゃないと伝わらないのである。

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