信長協奏曲(本能寺の変がテーマ)
2014年にフジテレビの月9で連続ドラマ化された「信長協奏曲」の劇場版。原作は累計売上300万部を突破した石井あゆみの大人気コミック「信長協奏曲」である。
本作はドラマの、その後を舞台に本能寺の変にスポットを当てて描かれている。織田信長と妻の帰蝶、幼い頃からの友であり側近の武将・池田恒興(つねちゃん)との掛け合いが個人的には好きだ。
ひょんなことから戦国時代へとタイムスリップした高校生のサブロー。目の前に現れたのは、あの織田信長だった。サブローは信長から「俺の代わりに織田信長を演じてくれ」と頼まれる。
そして、本当の信長は明智光秀としてサブローの部下として生きることになる。しかし、成果を挙げ、部下から慕われていくサブローの姿を信長は快く思わず、次第に殺意を抱いていく。
その闇に入り込もうとするのが豊臣秀吉だった。秀吉は幼い頃に信長に両親を殺され、彼もまた殺意を抱く一人だった。そんな矢先、秀吉は明智光秀が本当の信長であることを知る。
と、ここまでがザックリしたドラマでのストーリー。映画では、秀吉と明智が陰謀を企て、信長を討つために結託するところから始まる。そう、戦国最大のミステリーとなった“本能寺の変”がテーマである。
史実に基づいた戦国映画ではなく、タイムスリップ、信長の影武者という奇抜な設定で本能寺の変に至るまでを描いたエンターテインメント作品だ。
ちょっと気弱で内気なサブローだが、戦国の荒波に揉まれてたくましく成長する姿も見どころ。勉強が苦手で歴史の知識ゼロのサブローだったが、不思議なことに着実に歴史通りの展開で進んでいく。
そんな矢先、彼のほかにも戦国時代へタイムスリップしていた武将がいた。松永久秀だ。松永はサブローがタイムスリップしてきたことを知ると、史実通りにいけば「もうすぐ信長は死ぬ」ことを告げる。
その事実を知り、葛藤するサブローだが、いつ・どこで死ぬのか分からぬまま、本能寺へと向かう。一方、帰蝶も信長が本能寺で暗殺されることを知り、なんとか阻止しようとするのだが・・・
果たして、本物の信長である明智光秀はサブローを殺すのか、秀吉は”どう動くのか?”、意外な結末から目が離せない。もし史実通りに進むなら本能寺の変でサブローは死ぬことになる。
そして、明智光秀も秀吉に討たれ死ぬことになる。タイムスリップという設定だが、戦国史上もっとも謎に包まれた本能寺の変を独特の観点で描いている信長協奏曲。
本能寺の変で信長の遺体が見つかっていないのは何故か、なぜ秀吉は誰よりも早く光秀を討てたのか、用意周到な光秀が何故いとも簡単に秀吉に討たれたのか、などなど本能寺の謎は多い。
謎と照らし合わせながら観るのも楽しいかもしれない。
本能寺の変(ほんのうじのへん)とは、天正10年6月2日(1582年6月21日)早朝、京都本能寺に宿泊していた織田信長が、家臣明智光秀の謀反によって襲撃された事件である。
信長は寝込みを襲われ、包囲されたのを悟ると、寺に火を放ち自害して果てた。信長の嫡男で織田家当主信忠は、宿泊していた妙覚寺から二条御新造に退いて戦ったが、やはり館に火を放って自害した。
2人の非業の死によって織田政権は崩壊し、天下人となった光秀であったが、中国大返しで畿内に戻った羽柴秀吉に山崎の戦いで敗れて、僅か13日後に光秀も死去。
この事件は戦国乱世が終息に向う契機となったので、戦国時代における最後の下剋上とも言われる。
光秀が謀反を起こした理由については、定説が存在せず、「日本史の謎」「永遠のミステリー」などと呼ばれ、様々な人々が多種多様な説を発表している。
参考:本能寺の変(Wikipedia)
画像:©2016東映
監督 松山博昭
出演 小栗旬(サブロー/織田信長)、柴咲コウ(帰蝶)、向井理(池田恒興)、藤ヶ谷太輔(前田利家)、水原希子(市)、古田新太(松永弾正久秀)、濱田岳(徳川家康)、高嶋政宏(柴田勝家)、山田孝之(羽柴秀吉)ほか
2016年7月20日DVD発売(2016年1月 上映)
戦国武将を題材にした映画や大河ドラマ、幕末の人物にスポットを当てたドラマなど数多く作られているが、歴史的な出来事をクローズアップした映画は一味違った楽しみ方がある。
史実を度外視して大げさに構成されているストーリーもあるが、それはそれで歴史を知る楽しみ方の一つ。
ありえない設定と”食わず嫌い”せず、たまには映画で歴史の側面に目を向けてみるのも悪くない。ぜひ時間を設けて、のんびりと戦国映画を鑑賞してみてはいかがだろうか。
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