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天下の茶人、千利休が遺した「四規七則」「利休道家」とは?(前編)

  五則 刻限は早めに(気持ちにゆとりをもつ)


画像:Pixabay

刻限とは、定められた時刻のこと。ずばり、「時間に余裕をもちなさい」という意味。時間に余裕をもって行動することで気持ちにゆとりが生まれ、心のこもった「おもてなし」につながるという教訓です。

時間に追われ、気持ちにゆとりがなければ自分のことで手いっぱいになり、相手のことを考えられなくなってしまいます。そうなると、対応が雑になってしまうわけですね。

時間に余裕がない→気持ちにゆとりがなくなる→心のこもった「もてなし」はできない、だから時間に余裕をもって行動し、気持ちにゆとりがある状態で客人を迎えなさいという利休の教えになります。

  六則 降らずとも傘の用意(柔軟な心をもつ)

さっきまで晴れていたのに突然の雨。傘を持たずに来た客人は帰りのことが心配になり、雨のせいで気が散ってしまい、ゆっくり落ち着いて茶を嗜めなくなるでしょう。

そうした不測の事態に備え、客人を迎えるときには「雨が降っていなくても傘を用意」しておき、「客人に余計な心配をさせないようにしなさい」という利休の教えです。

行き届いた気配りを心がけるには、自分のためではなく、相手のために備えて(準備して)おくことが大切と利休は説いています。相手のことを第一に考える、利他の精神と言えるでしょう。

  七則 相客に心せよ(互いが尊重し合う)

一則~六則まで「もてなす側」の心構えでしたが、七則目は客人に対する「相客の心得」です。相客とは、同席した客、同じ場所に居合わせた客という意味。

たとえば、複数の客が参加するイベントなど、一人の身勝手な振る舞いや心ない言動が相客に不快感を与え、楽しいはずの場が台無しになってしまうこともあります。

もてなす側だけが気を配ればよいというわけではなく、もてなしを受ける側も「この場が共有の空間である」という意識を忘れず、相客に配慮したりマナーを守ったり他者を思いやる気持ちが大切なんですね。

客同士が互いに気を配り合うことで平穏や調和が生まれ、すべての人にとって特別な時間になるという利休の教えになります。どんな場面でも、相客に心する(気遣う)精神を忘れたくないものです。

  利休道歌(利休百首)

四規七則は、無理難題な心構えではありません。どちらかと言えば、すべて基本的なことを述べているだけです。しかし、その基本的なことに目を向け、注意深く意識しながら過ごす人は少ないでしょう。

利休は茶道における詫び寂びを「自然体で、ちょうど良い具合に」と説いていますが、これは茶道に限った教えではなく生き方や人との関わり方など、すべてに通じる基本的な“作法”ではないでしょうか。

やり過ぎは良くない、けど、足りないのも良くない。だから、ちょうど良い具合に自然体で成り立つ調和の心。そのためには、見えない気配りや自分自身の心の在り方が大切になってきます。

個々が利益を求める現代、セルフィッシュ(利己的)な考えや行動をもつ人が目立ちますが、人との関わり合いや調和といったアンセルフィッシュ(利他的)な精神を忘れたくないものです。

四規七則は「おもてなし」や「対人」における作法の心構えでしたが、後編は、利休道歌(利休百首)から今後の人生に生かせるような教訓や利休の教えを学んでみたいと思います。

後編は、こちら↓
天下の茶人、千利休が遺した「四規七則」「利休道家」とは?(後編)

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