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織田信行(織田信勝)の謀殺_信長公記・首巻その7 

あまが池の大蛇


画像:蛇池の案内板(名古屋市西区比良)

織田の家臣・佐々成政の居城である比良城(名古屋市西区)は東と南北に伸びる堤防があり、城の西には「あまが池」があり、その池には"大蛇の化け物"が潜んでいると言われていた。

福徳郷(名古屋市西区)に住んでいる又左衛門が、雨が降る夕暮れに堤防のあたりを通りかかったとき、胴回りが両腕では抱えきれないほどの大きさをした黒い物体が堤防から「あまが池」のほうへ伸びていくのを見た。

又左衛門の気配に気づき、黒い物体が頭を見せた。すると、鹿のような顔に不気味に光る目、真っ赤な舌出した大蛇であったという。又左衛門は恐怖のあまり逃げ去った。

この話を聞いた信長は又左衛門を清洲城へ招き、詳しく話を聞いた。そして、信長は「池の水を空にして蛇を追い出そう」と言い出したのである。翌日、比良城の城下に住む町人や近隣の村人が集められ、池の水を抜く作業が始まった。

5時間ほどが過ぎたが、池の水は7割になったところで減らなくなり、不機嫌になった信長は「俺が池の中に潜って大蛇を見てくる」と言い、池に飛び込んでしまった。

しばらくして信長が池から顔を出し、「蛇が見当たらん」と言い、潜水が上手い鵜左衛門に「お前が潜って見てこい」と指示した。鵜左衛門も「見当たらない」と言い、信長は納得して清洲に戻った。

この頃、佐々成政が謀反を企んでいるという噂があり、佐々は病を患ったふりをして比良城から出てこなかった。

池の水を汲み取っている最中、信長は「比良城は小さい城だが構えが立派と聞いている。ぜひ自分の目で確かめてみたい」と言い出した。佐々は信長から切腹を命じられると思い、慌てた。

佐々の家臣・井口太郎左衛門は名案が浮かんだと言って佐々に提案する。その案とは、まずは水の上から城の外観を見てほしいと信長を船に誘って、警護が手薄な船上で不意をついて刺し殺そう、というものだった。

しかし、信長は大蛇の存在を確かめたあとに比良城へは行かず、清洲城に帰った。

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