スキル4 鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス
画像:野鳥の神秘と生命「時鳥」(©2011野鳥図鑑)
ホトトギスが鳴かなければ殺してしまうのが織田信長で、鳴くまで待つのが徳川家康。そして、鳴かせるために試行錯誤するのが豊臣秀吉。
鳴かぬなら殺してしまえホトトギス・・・短気な信長さん
鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス・・・我慢強い家康さん
鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス・・・知恵の秀吉さん
それぞれの性格を表した俳句ですが、信長は短気で家康は我慢強いタイプ。かたや秀吉は、積極的な行動派で知恵の人。「よし!鳴かせてみよう」と無理難題に取り組むわけですから。
セールスとは、まさに”鳴かせるプロ”でなければなりません。鳴かないホトトギス(商談相手)を目の前にして「どうやれば鳴くのか・・・」と、まずは課題を明確にするのが第一ステップ。
次は、どのような方法で「鳴かせるか」を考えます。手段や道筋は一つではありません。
秀吉の場合、「エサで試してみるか」「餓死寸前まで追い込むか」「もう一匹ホトトギスをカゴの中に入れてみるか」など、ありとあらゆる作戦を考え、検証し、実行したのです。
これは、秀吉の戦術、組織経営、対人関係、政策など、生涯における基盤となり、目的を達成するための動力源でした。現代のセールスマンにも役立つヒントになるのではないでしょうか。
秀吉の家来になるためにとった作戦や墨俣一夜城の建設など(https://rekishi-hack.com/toyotomitechnique/)も、鳴かせてみようの精神を物語っています。農民の息子から天下人になった秀吉、やはり”ただ者”ではありませんね。
秀吉の優れた質問力
画像:豊臣秀吉公銅像(豊國神社)
さて、秀吉の人を動かすテクニックとして「褒める技術」と「4つのテクニック」をチェックしましたが、最後に、秀吉の「質問力」を紹介して終わりにしたいと思います。
その1 相手の立場になって考える
相手の立場になって客観的に考える秀吉は「質問力」が高かった言えます。自分本位な質問では相手の欲求を聞き出せませんし、何よりも「質問とは相手の時間を奪う」ということを忘れてはいけません。
つまり、相手の時間を無駄にしないためにも的確で充実した質問を投げかける必要があるわけです。どのような質問なら欲求を聞き出せるか、こちらに興味を示すか、が重要になります。
その2 ニーズのリサーチ
的外れなアプローチで商談を失敗しないために、ニーズを探ることは必要不可欠です。相手の欲求を把握することはシナリオを立てるためであり、的確な質問は、その欲求を引き出すためのスキルです。
質問にも様々な手法がありますが、たとえば「クローズド・クエスチョン」や「オープン・クエスチョン」などが代表的。そうしたスキルも身につけていくと状況に応じた的確な質問ができるようになるでしょう。
その3 感情を動かす質問
交渉のプロや商談が得意なセールスマンは「質問で感情を動かす」スキルをもっています。「~ですか?」と”聞くだけ”の質問ではなく、「~だと~ですよね?」といったように、こちらに意識を向けさせる質問です。
感情を動かすためには相手の欲求を刺激する質問を投げかける必要があり、「これを探していたんだ」「これがしたかったんだ」とゴールに誘導するような質問の組み立てが必要になってくるのです。
商談や交渉はゴールまでのシナリオが重要で、そのプロセスにおいて相手のニーズを知ったり感情を動かしたりする能力が求められます。ですから、相手の立場になって考えることは基本になります。
ただし、「相手の立場になって考えること」と「遠慮すること」は意味が違います。YESと鳴かない相手を鳴かせるのがセールスであり、その役目を果たすのがセールスマンということになりますね。
秀吉に学ぶ「人を動かす」テクニック
画像:秀吉と三成の像(長浜駅前)
人たらしの天才と呼ばれた秀吉。農民のスタートで人脈もゼロという大きなハンデを背負いながらも信長の家来となり、やがて武士の仲間入りを実現し、あげくの果てには天下統一を成し遂げました。
秀吉は有力な家臣を味方につけたり上司に気に入られたり、自分の目的を達成するために様々なテクニックを用いて人を動かすのが上手だったと言えます。
人を動かすというのは、相手の感情を動かすのと同じ。褒め上手やコミュニケーションスキル、相手の懐に飛び込む質問力など、現代のセールスマンにも役立つテクニックが満載です。
腕っぷしの強さが武器となる戦国時代で、秀吉は努力と根性、そして、話術やコミュニケーションといった能力も駆使しながら一つ一つの目的を達成しました。
時代が変わっても、セールスの本質は変わりません。秀吉のコミュニケーションスキルは、現代のビジネスシーンでもヒントになることが多いと思います。ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか。
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