創作性は強いがロマンを感じる作品
映画「GOEMON」の主人公は五右衛門だが、才蔵の視点でも楽しめる作品。信長の死と秀吉の天下統一、家康が関ケ原の合戦で勝利した理由がオリジナルの物語で展開されていく。
五右衛門と才蔵は服部半蔵に忍術を叩きこまれ信長に命を捧げた同期だが、信長の死後、それぞれ正反対の人生を歩むのだが、互いが互いを唯一の”友”だと思う気持ちは変わらなかった。
正義を信じ、孤独を抱えながら自由奔放に振舞う五右衛門。いつか武士になることを夢見て、三成の無理な注文に耐える才蔵。二人の人生は、”信長暗殺の真相”を巡って意外な結末を迎えることとなる。
画像:© 2009映画「GOEMON」パートナーズ
つまり、GOEMONに”事実”を求めてはいけない。戦国時代に渦巻く欲望や正義感、友情や葛藤など、石川五右衛門というキャラクターをフィルターにしながらロマンを感じる作品である。
五右衛門や才蔵のほかにも登場人物の性格や癖が興味深い設定で、今から420年前の話なのに背景や奇抜な服装など近未来的な要素も織り交ぜられており、見ていて飽きがこない。
写真家であり映像クリエイターの紀里谷和明さんが監督を務めているだけあって、情景や風景などダイナミックに描かれていてスケールが大きい。終始、爽快感がある作品に仕上がっている。
画像:©写真家・奥山智明(シネマトゥデイ)
https://www.cinematoday.jp/news/N0075631
これは余談だが、紀里谷さんの前妻は宇多田ヒカル。アーティスティックな感性も持ち合わせており、劇中で流れるメロディーやサウンドトラックにもこだわっている。
脚色が強く演出は強いが、時代背景はしっかりと歴史の流れに基づいて構成されている。だから、すべてが創作のストーリというわけではない。
さて今回は、映画「GOEMON」のネタバレと題し内容や見どころを紹介したが、創造の物語だから・・・と”食わず嫌い”せず、鑑賞してみてはいかがだろうか。熱き戦国の男たちが、歴史のロマンを感じさせてくれるだろう。
©映画「GOEMON」
監督・脚本 紀里谷和明
キャスト 江口洋介、大沢たかお、要潤、広末涼子、中村芝翫(中村橋之助)、奥田瑛二、ほか
2009年10月9日DVDリリース(2009年 上映)
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